脱・ベテラン頼りの提案。AIデータ基盤で技術継承と提案品質の標準化を実現したコンサルティング企業の事例

  • 公共/運輸
  • データ構造化
脱・ベテラン頼りの提案。AIデータ基盤で技術継承と提案品質の標準化を実現したコンサルティング企業の事例

インフラコンサルティング業界において、クライアントである自治体からの要求は年々高度化しています。一方で、コンサルタントの知識やノウハウは属人化しやすく、組織としての提案力をいかに高め、標準化するかは、企業の競争力を左右する死活問題です。

「クライアント(自治体)への提案が、特定のベテランコンサルタントの経験と勘に依存している…」
「若手が過去の類似案件を探すだけで、膨大な時間がかかる…」
「『その計画の根拠は?』クライアントの鋭い問いに、客観的なデータで即答できない…」

本記事では、水道・下水道分野のコンサルティングを手がける大手インフラコンサルティング会社が、DATAFLUCTのデータ統合・AIプラットフォーム「Airlake platform」を導入し、社内に散在する膨大なナレッジをAIで統合。データドリブンな提案スタイルを確立し、提案作成業務を効率化した事例をご紹介します。

ベテランの“暗黙知”をいかに資産化するか。競争激化時代のコンサルティング変革

《Before》属人化するノウハウと、非効率な提案作成プロセス

インフラコンサルティング業界の第一線を走り続ける同社。しかし、その実績の裏側で、組織が抱える構造的な課題に頭を悩ませていました。

課題1:提案品質の属人化と“エース依存”
高難易度の提案や、クライアントの信頼を勝ち取る的確なコンサルティングは、一握りのベテラン社員の経験に大きく依存。若手は過去の報告書や資料の山から参考情報を探すだけで数日を費やし、表面的な提案しかできないことも少なくありませんでした。

課題2:クライアントへの説明責任と報告業務の肥大化
クライアントである自治体から、「なぜこの工法なのか」「この劣化予測の根拠は何か」といった、データに基づく客観的な説明を求められる場面が急増。そのたびに、複数の案件フォルダーに散らばる過去のPDF報告書やExcelデータを手作業で探し出し、資料を作成する必要があり、コンサルタントの貴重な時間が報告業務に奪われていました。

課題3:価格競争からの脱却の困難さ
競合他社との差別化を図るため、より付加価値の高い「戦略的アセットマネジメント提案」などを模索するも、社内のデータを横断的に分析する基盤がなく、実現は困難。結果として他社との価格競争に陥りがちで、利益率の低下が経営課題となっていました。

《Action》社内のナレッジを集約する「第2の頭脳」の構築

個人の頭の中にある“暗黙知”を、組織の誰もが活用できる“形式知”に変えるため、DXの推進を決断。社内のナレッジマネジメント基盤として、当社のAIプラットフォーム「Airlake platform」を選定しました。

  1. 過去数十年のプロジェクト資産をAIでデジタル化
    まず、サーバー内に保管されていた過去数十年分、数万点に及ぶプロジェクト報告書(PDF)、図面、Excelデータ、技術文書などをプラットフォームに集約。特に、検索性が低かったPDF文書は、AI-OCR機能で全文をテキストデータ化し、横断的な検索を可能にしました。

  2. AIによる情報の構造化と「知」の紐付け
    次に、AIが各文書の内容を解析。「どの自治体の」「どの施設に関する」「どのような工法の」「どんな課題と成果があった」プロジェクトなのかを自動でタグ付けし、構造化。これにより、「〇〇工法を使った修繕の成功事例」などの検索で、関連する全ての報告書や技術ノートが瞬時にリストアップされるようになりました。

《After》データドリブンなインフラ運用を実現

「Airlake platform」を活用したデータプラットフォームは、同社のコンサルティング業務に「第2の頭脳」として定着し、大きな成果を生み出しています。

成果1:提案作成業務の劇的な効率化
過去案件の調査時間が大幅に短縮されたことで、効率的な提案書作成が可能に。若手社員でも、組織の集合知を最大限に活用し、短時間で質の高い提案を行えるようになり、チーム全体の生産性が飛躍的に向上しました。

成果2:提案の説得力強化
AIによる劣化予測シミュレーションや、類似案件の客観的データを提示することで、提案の説得力が格段に向上しました。

成果3:データに基づく新たなインサイトの発見
一元化されたデータを分析することで、これまで見過ごされていた傾向を発見。例えば、「特定の土壌条件下では、A工法よりもB工法の方が長期的なコストを抑えられる」といった、ベテランの経験則を裏付ける、あるいは覆すような客観的なインサイトを得られるようになりました。

まとめ:ナレッジは、企業の競争力の源泉である

変化の激しい時代において、企業内に蓄積されたナレッジは、最も重要な経営資源の一つです。その価値を最大限に引き出し、組織全体の力に変える「ナレッジマネジメント」こそが、これからのコンサルティング企業が競争を勝ち抜くための鍵となります。

「熟練の技術を、どう若手に継承すればいいのか?」 「クライアントを納得させられる、客観的な根拠を提示したい」 「労働集約的な業務から脱却し、新たな付加価値を創出したい」

そのような課題意識をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。AIが貴社のナレッジをいかにして競争力に変えるか、具体的な道筋をご提案いたします。

競合との差別化を実現する「データ活用経営」について相談する