持ち帰り弁当事業のパイオニアとして、来年50周年を迎える「ほっかほっか亭」。長年の店舗運営ノウハウと強力なブランド力を持つ同社は、事業の根幹である「新規出店」において、担当者の経験則に依存する「属人化」という課題に直面していました。
この課題を解決するため、株式会社ほっかほっか亭総本部は「Airlake AI models」によるAI売上予測の導入を決定。「データに基づく客観的な物件判断」のフロー化や、既存店のポテンシャル分析など、出店戦略の変革を実現しています。
お客様について:株式会社ほっかほっか亭総本部

持ち帰り弁当チェーン「ほっかほっか亭」を全国で展開。持ち帰り弁当事業のパイオニアであり、2026年6月に50周年を迎えるブランド力と、長年の店舗運営や出店に関するノウハウを強みとしています。
今回は、本プロジェクトで導入のための社内調整、モデル構築、「Airlake AI models」を活用したデータ分析まで幅広く担当された、営業推進室の高城 雄一様にお話を伺いました。
【課題】「担当者の経験」への依存。予測のブレが、効果検証と人材育成の壁に
― 従来の出店候補地の評価は、どのように行われていたのでしょうか? AI導入以前の課題を教えてください。
高城様:以前は、GIS(地理空間情報システム)のソフトウェア等を活用して人力で調査し、近隣の店舗状況と照らし合わせて独自に売上を予測していました。しかし、最終的には担当者の経験に頼っていた部分も大きかったのが実情です。
ほっかほっか亭はフランチャイズチェーンですが、同じようなメニューを販売していても、店舗によって月間売上に大きなばらつきがありました。その差分の要因を明らかにしたいという思いは常にありました。
また、店舗のQSC(品質・サービス・清潔さ)が低い店ほど売上が伴わない傾向があり、QSCの改善で売上が増加するという指導が必要です。しかし、その指導を行うための「数字的な根拠」を持って指導ができていなかったという課題もありました。
― その「属人化」や「予測のブレ」によって、具体的にどのような問題が起きていたのでしょうか?
高城様:いかに効率よく出店を行い、売上を上げるかが重要なのですが、出店したはいいものの、なかなか売上が上がらないという事もありました。
また、売上予測にブレが出てしまうことで、出店後の正しい効果検証ができていませんでした。
― そうした状況の中、AI導入の検討が始まった直接の「きっかけ」は何だったのでしょうか。
高城様:まさにその「属人化」です。DATAFLUCT様からのご提案をきっかけに、「感覚で判断し、データを根拠とした売上予測が立てられていないという属人化の解消は、ほっかほっか亭の未来を考えたときに避けては通れない」という課題を、改めて強く認識したことがきっかけです。
【導入の決め手】実績と、真摯なパートナーシップ
― AI売上予測サービスを検討するにあたり、他社とも比較されましたか?
高城様:はい、3社ほどからご提案をいただき、比較検討しました。
― その中で、最終的にDATAFLUCTを選んでいただいた「決め手」は何だったのでしょうか。
高城様:大きく2点あります。 一つは、導入事例です。「まいばすけっと」様など、順調に業績を伸ばしている企業の導入事例があったことは、大きな安心材料になりました。
もう一つは、「人」です。提案段階から御社の社長を含め、もう一つは、「人」です。提案段階から御社の社長を含め、みなさまが我々の課題に対して真摯に向き合っていただけたことが、非常に好印象でした。
― 導入に際して、社内での調整はスムーズでしたか?
高城様:弊社代表が新しい試みに対して積極的であり、また属人化という課題感も持っていたため、会社の意志としてスムーズにスタートできました。
否定的な意見はあまりありませんでしたが、むしろ「導入したAIを使いこなせるのか」という不安の方が大きかったです。
【導入プロセス】130以上の項目を精査。「二人三脚」でAI売上予測モデルを構築
― 導入決定からソリューション開発に至るまで、特に印象に残っていることはありますか?
高城様:新たなものを構築するにあたって、やはり不安感はありました。しかし、DATAFLUCT様との週次ミーティングで課題やタスクを一つひとつ棚卸しし、まさに「二人三脚」で形を作っていくことができたと感じています。
― 今回、売上実績から店舗の視認性、人流、競合まで、多くのデータを活用しました。データ収集や整理でご苦労された点はありますか?
高城様:130項目以上のデータを読み込ませて、我々専用のAI売上予測モデルを構築しました。社内ではこれを「HGIS」と呼んでいます。構築にあたり、新たに収集したデータも多数あります。
特に「店舗の視認性」や「駐車場・自動ドアの詳細」など、現地確認が必要なデータもあり、それらは営業部の社員に協力してもらって収集しました。
DATAFLUCT様からのご提案を基に、どの項目をモデルに組み込むかを打ち合わせしながら決定していく過程が、一番時間がかかり大変でした。
― データ収集の際、社内での協力体制を構築するために工夫したことはありますか?
高城様:まさにそこも御社に助けられた点です。営業部の社員にデータ収集を協力してもらう際、我々が「欲しいデータ」の認識に齟齬が生まれないよう、DATAFLUCT様が分かりやすい説明資料を作ってくださるなど、サポートが非常に手厚かったです。
【導入後の効果と今後の展望】出店戦略の「フロー」を変革。既存店のポテンシャル分析へ
― 本番導入後、現時点でどのような手応えや変化を感じていますか?
高城様:売上予測の精度そのものは、これからが本格的な検証段階ですが、大枠の予測に関してはブレがないと見込んでいます。
それ以上に大きな変化として、店舗戦略を立てる際、まず「Airlake AI models」で構築した「HGIS」に(候補物件の情報を)読み込ませて判断するというプロセスが、社内のフローとして定着しつつあることです。
また、AIが算出した売り上げ予測の結果に近似するような実際の成功事例も出てきていることが後押しとなり、さらに社内でも活用が広まってきています。
― 新規出店以外では、どのような活用を期待されていますか?
高城様:出店はもちろんですが、既存店舗の検証にも役立てられると大いに期待しています。
具体的には、既存店舗の「売上ポテンシャル(本来発揮できるはずの売上)」をAIで測り、現状の売上との差を見る。それによって、その店舗が抱える課題を発見したり、移築・改修といった投資の判断をしたりと、今後の戦略策定に活用できると考えています。
― 今後、AI活用をどのように広げていきたいですか?
高城様:まずは、人力で行っていた部分をAIに任せることで、さらなる出店の加速、業務の効率化と費用対効果の向上を期待しています。
その先は、出店に関する実務(作図など)や、メニュー開発といった、今回とは他分野の「属人化している仕事」についても、AIの活用を広げていきたいですね。
【他社へのメッセージ】「誰が担当しても結果が出る」仕組みが、企業の持続的存続に不可欠
― 最後に、AIによる売上予測の導入を検討している企業担当者様へ、アドバイスをお願いします。
高城様:長年積み重ねてきた経験で判断すべき部分ももちろんありますが、「誰が担当しても結果が出る」ことを当たり前にすることが、企業の持続的な存続には不可欠だと考えています。我々と同じような課題を抱える企業には、ぜひおすすめしたいです。
ただし、AIに任せたからといって、求めている答えがすぐに返ってくるわけではありません。特徴量の設定とデータの入れ方でアウトプットは変化します。
予測に誤差が出たら、その誤差を埋めるための情報をさらに与えるなど、AIを「どんどん活用し、精度を上げていく」という姿勢が重要だと思います。
ほっかほっか亭総本部様のように、店舗開発における「属人化」や「出店戦略の客観性」に課題をお持ちではありませんか?
DATAFLUCTの「Airlake AI models」は、需要予測をはじめ、従来のツールでは対応が難しかった複雑なビジネス課題に対してオーダーメイドのAIモデルを開発します。どのように貴社の課題をデータで解決できるか、ぜひご紹介させてください。