【新日本法規出版/AI事例】AIで「速報性」の壁を突破。新日本法規出版に学ぶ、新規事業創出のポイントとAIハイブリッド運用の裏側

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【新日本法規出版/AI事例】AIで「速報性」の壁を突破。新日本法規出版に学ぶ、新規事業創出のポイントとAIハイブリッド運用の裏側

法律情報の出版分野では、法令改正から書籍化までには一定の工程が必要で、速報性を求めるニーズに応えるための施策が課題となっていました。法律情報支援の老舗である新日本法規出版株式会社様も、この課題を解決し、紙媒体と並行した新規事業の創出を目指すため、DATAFLUCTとの共創によりAIを活用した新規事業「Select News HR」を開発しました。

AIと法律出版社の知見を融合させた本サービスは、PoC(実証実験)の特定条件下において、情報の見逃し防止に寄与する有望な結果が得られました。β版リリース後は想定以上のユーザー獲得にも成功しています。

本記事では、同社の新規事業開発の背景と、DATAFLUCTをパートナーに選んだ決め手、そしてAIと人のハイブリッド運用成功の秘訣について、プロジェクト責任者の宇野様に詳しく伺いました。

お客様について: 新日本法規出版株式会社

法律情報支援企業として、信頼できる情報をさまざまな環境に応じて提供。長年培ってきた専門家との強固なネットワーク、法律の知識、そして書籍の「信頼性」を最大の強みとしています。今回は、本プロジェクトを担当されたテック事業開発局 プロダクト開発部 デジタルコンテンツ企画課 マネージャー 宇野様にお話を伺いました。

【課題】「紙離れ」と「速報性」の壁。老舗出版社が直面したデジタル時代のジレンマ

―まず、DX推進以前はどのような課題を抱えていましたか?

宇野様:当社は法律情報の専門企業ですが、近年、オンラインツールやAIの普及により、専門書の分野でも、いわゆる「紙離れ」とは無関係とは言えませんでした。そのため、紙媒体と並行して、新たな収益モデルを構築することが経営課題の一つとなっていました。

最大の課題は「速報性」です。従来の書籍事業では、法令改正の見通しがわかってから書籍化するまでに、どうしても一定の工程が必要であり、近年の「速報性を重視するユーザー」のニーズに十分応えられていないというジレンマがありました。

―ユーザー側にも課題があったのでしょうか?

宇野様:はい。この度、私たちがメインターゲットとした企業の人事労務担当者様は、日々複数の媒体に目を通し、膨大な情報の中から必要な情報を探しており、情報収集自体が大きな負担になっていることがヒアリングで分かっていました。

社内的な戦略としても、既存のテック事業をさらに伸ばすため、新たな企業ユーザーを開拓し、「速報性のある情報」を届け、既存サービス間の「スキマを埋める」必要性を感じていました。

【決め手】技術力以上に「伴走力」。PoCで確信した迅速な課題解決スピード

―サービス開発のパートナーとしてDATAFLUCTを選定された決め手は何だったのでしょうか?

宇野様:きっかけは、愛知県の企業と全国のスタートアップとのオープンイノベーションを活用した新規事業創出プログラム『AICHI MATCHING 2024(あいちマッチング2024)』です。このプログラムを通じて複数企業との検討を行う中で、DATAFLUCT社とマッチングする機会がありました。 DATAFLUCT社とマッチングした後は、まずPoC(実証実験)を実施し、Airlakeを活用して情報の整理・要約・分類の実証を行いました。結果は非常に良好で、AIの要約精度や分類の妥当性が高く、技術的に実現可能だと判断できました。

しかし、技術評価以上に重要だと感じたのが、DATAFLUCT社の「対応姿勢」です。

当社からの指摘に対して迅速に対応いただき、改善のサイクルを短く回せた点が印象的でした。柔軟かつ迅速に対応し、すぐにプロトタイプや数字情報を提示してくれる課題解決力がありました。これなら社内の合意形成もスムーズに進められると感じました。

技術力はもちろんですが、「このパートナーとなら、事業化後も一緒に成長できる」と確信できたことが最大の決め手です。

【DXの要諦】AIの“目”と専門家の“目”。「信頼性」を両立するハイブリッド運用

興味のある分野をAIが理解し、公的機関の最新情報を分類・分類・整理し、パーソナライズ配信する

―新サービス「Select News HR」では、AIと人のハイブリッド運用を採用されていますね。

宇野様:はい。省庁から発表される情報は膨大で、形式も統一されていません。これを人力だけで整理・分類するには限界があります。AIを活用することで、「最新・更新情報だけ」「要点だけ」「ユーザーに関係ある情報だけ」を効率的に届けることを目指しました。

―AIによる「完全自動化の運用」をしなかった理由はありますか?

宇野様:当社の強みは、あくまで長年培ってきた専門知識と「信頼性」です。「Select News HR」は、AIだけで運用しているサービスではありません。AIが分類した情報を、最終的に新日本法規出版の担当者が「人の目」で修正・選定することで品質保証するハイブリッドな運用体制を構築しました。

AIの利便性・速報性と、人間の高度な判断力を両立させることで、お客様に「信頼できる情報」を迅速にお届けすることが可能になると考えました。

【導入プロセス】PoCで「コスト」と「リスク」を徹底検証。アジャイル開発で予定より1ヶ月早くリリース

figmaを活用した効率的な確認作業

―新規事業開発をスムーズに進めるために工夫された点はありますか?

宇野様:まず、社内の新規事業審査会制度を活用しました。この制度を通じ、経営層から現場レベルまで「この事業は全社で推し進めるもの」という認識を醸成することで、関係部署の協力を得やすくし、必要なリソースを確保しました。

―DATAFLUCTとはどのように連携を進めましたか?

DATAFLUCT 石田:私たちはお客様の「スピード感」を最重要視しました。まず要件整理からシステム構築までをスピーディに進め、ウォーターフォール型とアジャイル型を組み合わせ、動くものをベースにお客様に触っていただきながら進めることで、「思っていたのと違う」というズレをなくす工夫をしました。figmaなども活用し、新日本法規出版様から直接フィードバックをもらいながら仕様を詰められたのも大きかったですね。

宇野様:DATAFLUCT社とは定期的かつ綿密な協力体制が作れました 。結果として、開発は当初の予定よりも1ヶ月早く完了し、さらに細かな修正を経て、予定通りリリースすることができました。

DATAFLUCT 石田:今回のPoCでは、AIの精度検証だけでなく、本番運用を見据えた「AIのコスト試算」や「データ取得のフィジビリティ検証」も徹底的に行いました。これにより、本番実装におけるビジネスリスクを最小限に抑えることができました。

【効果】新規事業「Select News HR」が始動。高精度AIで、想定以上のユーザー獲得に成功

「Select News HR」サービス画面

―導入による具体的な効果を教えてください。

宇野様:まず、サービスの根幹となるAIの分類精度において、PoCの特定の状況下ながらユーザーが必要とする情報を漏れなく届けられるかを示す「見逃し防止率」で87%という高い精度を記録できました 。

―サービスリリース後の反響はいかがですか?

宇野様:2025年7月に「Select News HR」を無事リリースしました。リリース後は、当社の既存販売ルートを活用して企業の方々だけでなく社会保険労務士の方々などにもアプローチした結果、当初想定していた以上のユーザーを獲得することができています 。お客様の情報見落としリスクを低減し、コンプライアンス強化に貢献できるサービスになっているのだと嬉しく思っています。

AIを活用した新規事業開発、成功へのアドバイス

―最後に、AIを活用した新規事業開発を目指す企業様へメッセージをお願いします。

宇野様:「AI」や、スタートアップとの「共創」という言葉には期待感が高まりますが、これらが自動的に課題を解決してくれる「魔法の杖」ではない、と認識することが重要です。

最も大事なのは、事業会社側の主体性です。自分たちが「何を作り、どんな人に届けたいか」というビジネスイメージを徹底的に作り込み、AIの可能性や限界も理解した上でスタートアップと向き合う必要があります。

その上で、スタートアップからの専門性のある助言を真摯に受け止めることと、「一緒に事業を成功させたい」と本気で考えてくれるDATAFLUCTのようなパートナーを選ぶことが、成功に繋がるポイントだと思います。


老舗の法律情報企業である新日本法規出版様は、DXの一環としてAIを活用し、「速報性」と「信頼性」という相反しがちな課題を「AIと人のハイブリッド運用」によって解決しました。その成功の鍵は、①事業会社側の明確なビジョン、②PoCによる徹底したビジネス検証、そして③ビジョンを共に実現する伴走型パートナー、DATAFLUCTの存在にありました。

 DATAFLUCTの「Airlake platform」は、お客様のデータ状況やビジネス課題に合わせ、PoCから本番実装までをスピーディに支援します。 「AIを活用した新規事業開発」「既存業務のDX推進」といった課題をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。

本プロジェクトの責任者

石田 和也(株式会社DATAFLUCT Airlake Platform Unit執行役員 Airlake Knowledge 事業責任者)

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