■事例サマリー
企業 | 株式会社東芝 |
|---|---|
テーマ | 「SATLYS映像解析AI」とAIデータ基盤「Airlake platform」を連携させ、映像データ活用の可能性を検証する。 |
ソリューション | 東芝「SATLYS映像解析AI」× DATAFLUCT「Airlake platform」 |
取り組み | ①変状・異常検知(ドラレコ映像からの道路損傷の自動検知)、②画像質問応答(不安全行動の検知とダッシュボード可視化)の2つの連携検証(R&D)を実施。 |
成果 | 映像の解析から構造化、BIによる可視化までをシームレスに行える連携を確認。デモが顧客の理解を深め、新たなユースケース創出につながる手応えを獲得。 |
生活の場から職場まで、街のいたるところにカメラが設置され、膨大な映像データが日々蓄積されています。しかし、その多くは「監視・見守り」の用途にとどまり、データとしての価値を十分に引き出せていないのが実情ではないでしょうか。
株式会社東芝様は、長年の研究開発で強みとする「SATLYS映像解析AI」とDATAFLUCTのAIデータ基盤「Airlake platform」を連携させ、映像データを「貯めて、活かす」検証(R&D)に取り組みました。その手応えと映像データ活用の未来について、東芝 デジタルエンジニアリングセンター フェロー 鈴木優様、エキスパート 川野晋一郎様に伺いました。
「監視・見守り」から「マーケティング・分析」へ。映像データに求められる価値が変わってきた
― 「SATLYS映像解析AI」は、これまでどのような課題を解決してきたのでしょうか。
鈴木様:SATLYS開発の発端は、世の中にカメラが増え、映像データが日々溜まり続けていることです。それをうまく活用すれば、お客様の暮らしやビジネスの効率化、安全・安心に貢献できると考えました。これまでのニーズは「監視」や「見守り」が中心。人の作業の手間を減らせる、事件・事故や災害を防げるといった、価値の分かりやすい領域でした。
川野様:私はSATLYS以前からデータ分析に携わってきましたが、10年ほど前から画像・映像データが急増しました。映像はExcelやCSVと違い、学習に使える形ではなかなか貯まらず、「何もしなければ1日で捨ててしまう」世界です。お客様に「どう貯めればいいのか」と聞かれても、私たちには、画像・映像データを貯めるのに適した仕組みや製品がありませんでした。だからこそ、その受け皿となるデータ基盤を探していました。

― 外部のデータプラットフォームとの連携を模索されたきっかけは何だったのでしょうか。
鈴木様:最近はお客様から「マーケティングに使いたい」「分析をしたい」というニーズが出てきました。それには映像データだけでは足りない。逆に言えば、他のデータと組み合わせれば価値が出る。そう感じたことが連携のきっかけです。
決め手は「マルチモーダルデータへの対応力」と「ソリューションとして仕立てる力」
― 数ある選択肢の中で、DATAFLUCTの「Airlake platform」を選ばれた経緯を教えてください。
鈴木様:マルチモーダルなデータを扱えるプラットフォームと考えたとき、Airlakeが最適だというのが技術面での理由です。音声処理などで連携してきた実績もあり、SATLYSの映像解析がそこにはまるイメージが持てたので、自然な選択でした。
川野様:私自身は海外製のプラットフォームも検討していました。最終的な決め手は「一緒にやってくれる」こと。入口から出口までのソリューションを一緒に考えてくれる点で、DATAFLUCTさんを選びました。
ビジネス実装力への期待感
鈴木様:DATAFLUCTさんとは、2020年に開催されたオープンイノベーションプログラム「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM」から協業が始まっています。社内でも「なぜDATAFLUCTさんは、提案を次々と協業に繋げられるのだろう」と話題になるほど、提案力と課題解決のスピードを高く評価していました。メンバー全員が同じ印象だったので、SATLYSとAirlakeを組ませる際も反対はなく、むしろ後押しがありました。
川野様:私たちは技術者集団なので「箱があれば自分たちで作ればいい」と考えがちですが、作るのは大変で、お客様のITリテラシーもさまざまです。DATAFLUCTさんはデモまで含めて形にしてくれて、「ここにデータを貯めればSATLYSが動き、この表示まで見せられます」とお客様に提示できる。お客様に一番訴求できるのは可視化の部分です。「ここまで一緒にやってくれるのか」と、非常に助かっています。

検証①道路損傷検知――「検知して終わり」ではなく、原因と傾向の分析へ
1つ目の検証では、Airlake上に蓄積したドラレコ映像をSATLYSの変状・異常検知AIで解析して道路の損傷箇所を自動検知し、ヒートマップ描画した映像として出力する一連の流れを確認しました。

― この検証で見えてきた現場へのインパクトを教えてください。
鈴木様:高速道路では、走行しながらリアルタイムに損傷を見つけてすぐ直すという使い方が中心です。一方、自治体が管理する一般道では事情が異なります。限られた人員で広い道路網を見なければならないため、「どこから直すべきか」という優先順位付けが出発点になるからです。それには、損傷を1件ずつ見つけるだけでは足りません。検知結果をデータとして蓄積し、「なぜそこに損傷が多いのか」「どのエリアに集中しているのか」まで分析できてはじめて、計画的な補修につながります。
検知から蓄積・分析までをつなげられることが、今回の連携検証で見えてきた価値です。道路に限らず、さまざまなインフラの維持管理にも展開できると期待しています。
検証②画像質問応答――ヒヤリハットの可視化で「本質的な現場改善」へ
2つ目の検証では、SATLYSの画像質問応答機能で、現場映像から「ヘルメットを被っているか」「携帯電話を使っているか」といった質問に基づく解析を実施。結果をAirlakeで構造化して蓄積し、BIダッシュボードで可視化しました。現場ルールの遵守状況モニタリングや、インシデント原因の特定といったユースケースを想定しています。

― 建設・製造現場における、この仕組みの活用価値をどのようにお考えですか。
鈴木様:ルール違反を即時に警告したいというニーズは以前からありましたが、加えて「ヒヤリハットや軽微な不安全行動がどれだけ起きているのか」を見たいというお声をいただいています。さらに、なぜ不安全行動が起きたのかを分析するには、現場・工程・天候といったデータとの掛け合わせが不可欠です。そうした本質的な現場改善につなげるところまで、一緒にできると期待しています。
川野様:画像質問応答は「どこまでできるの?」と分かりにくい機能ですが、デモをお見せすると一気に理解いただけて、「こういうこともやりたい」と話が広がっていきます。検知箇所をしっかり示してくれる点や、解析ログの確認しやすさも良かったですね。
映像×他データの掛け合わせが生む、新しいユースケース
― 今回の検証から、どのような可能性を感じられましたか。
鈴木様:「他のデータとの掛け合わせ」に大きな可能性を感じています。今のマーケティングは、ポイントカードによる年齢・性別といった属性軸が中心です。しかし本当は、買い物をしたその瞬間の「お子様連れか」「荷物が多いか」といった情報が映像から取れるはずです。それをPOSなどのデータと組み合わせられることが、今回のR&Dで具体的に見えてきました。
川野様:マルチモーダルにデータを貯められる「受け皿」があるので、お客様との話がどんどん進みます。他の製品なら「そのデータをどう貯めましょうか」から始まるところを、「DATAFLUCTさんと一緒にやればすぐできそうです」と返せる。安心してお客様に提案できます。
― 今回のDATAFLUCTの支援体制について、率直なご意見をお聞かせください。
川野様:データを持ち込み、仕組みにかけ、結果を出す一連の流れは、まさにプロフェッショナルでした。映像データは癖のある「生き物」ですが、そこにも全部対応いただいた。支援を通じて「こういうこともできるんだ」と気づかせてくれたことが大きかったですね。
工場から商業施設、駅・空港まで――映像データを持つすべての企業へ
― どのような業種・課題を持つ企業様に、映像データ活用の可能性が広がるとお考えですか。
鈴木様:工場や建設現場から、ショッピングモール、ホテル、飲食店、駅や空港まで、監視・見守りの用途でカメラをお使いの企業・団体は無数にあります。「どう価値にするか」がすぐに分からなくても、DATAFLUCTさんと一緒に考えれば課題解決につなげられる。映像データが実は価値になるのだと、ぜひ気づいていただきたいですね。
― 最後に、映像データ活用に悩む企業のDXご担当者へ、メッセージをお願いします。
鈴木様:DATAFLUCTさんは、単にプラットフォームを提供する会社ではなく、お客様の課題を一緒になって解決していく会社です。机上の検討にとどまらず、ラピッドにMVP(実用最小限のプロダクト)を作って実証する。「何を解決すべきか」から一緒に考えられ、そこに私たちもSATLYSの技術力で貢献できます。ぜひ、お客様と一緒に取り組みたいですね。
川野様:データを「貯める」サービス、「活用する」サービスはそれぞれありますが、貯めてから活用するまでをシームレスにできるのがこの連携の強みです。それを身近なところで一緒に考えてくれるのがDATAFLUCTさんです。「貯める仕組みと組み合わせないとソリューションにならない」と悩んだら、まず相談してみることをおすすめします。
DATAFLUCTの「Airlake platform」について
映像という非構造化データを資産に変え、解析から可視化・分析までをシームレスにつなぐ。DATAFLUCTの「Airlake platform」は、映像・音声・文書などのマルチモーダルデータを自動で構造化し、DWH・BI・AIエージェントまで一気通貫でつなぐAIデータ基盤として、構想・PoCから本番実装まで伴走支援します。
「カメラ映像を監視以外にも活かしたい」とお考えの企業様は、デモ画面や事例をご覧いただけるオンライン相談会へお気軽にお申し込みください。
