【食品メーカーDX事例】AI需要予測で販売計画工数60%削減。トロナジャパンに学ぶ、属人化解消と在庫最適化の進め方

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【食品メーカーDX事例】AI需要予測で販売計画工数60%削減。トロナジャパンに学ぶ、属人化解消と在庫最適化の進め方

多くの食品メーカーがDX推進で直面する「需要予測」の課題。経験と勘に頼る属人化した販売計画は、精度のバラつきを生み、フードロスや機会損失に直結します。「すき家」などを展開するゼンショーグループの食品メーカー、株式会社トロナジャパン様も、この課題を解決するためDXの一環としてAI需要予測モデル「Airlake AI models」を導入。

その結果、販売計画作成業務の60%削減を見込むだけでなく、部門間の連携強化という組織変革も実現しています。本記事では、食品メーカーのDX推進のヒントとなる、同社の導入プロセスとその具体的な効果について詳しく伺いました。

お客様について:株式会社トロナジャパン

ゼンショーグループの食品メーカーとして、ピザや惣菜、冷凍食品などを企画・開発。グループのスケールメリットを活かした調達力で、品質・コスト両面での高い競争力を確立しています。

今回は、本プロジェクトを担当された営業部・DX担当のT様にお話を伺いました。

【課題】属人化した需要予測がサプライチェーン全体の非効率を招く

― DX推進以前は、食品メーカーとしてどのような課題を抱えていましたか?

DX担当 T様:当社では全国の営業担当が手作業で販売計画を作成しており、属人化が大きな課題でした。担当者の経験則に頼るため予測精度に差が生じ、結果として各物流拠点での在庫が適正な比率にならない問題が発生していました。

この影響によって営業部門のみならず、在庫の適正な運用を支えるために、調達担当者も多くの時間を確認作業のために割り振っておく必要がありました。

DXによる業務改革の必要性を感じ、販売計画の自動化を検討していましたが、具体的な解決策を見つけられずにいました。

― AI導入の直接のきっかけは何だったのでしょうか?

T様: ある展示会で、DATAFLUCT社が他の食品流通卸大手企業のDX事例を紹介していたのがきっかけです。その成功事例を見て、我々が抱える課題をAIで解決できる具体的なイメージが湧き、AI導入への動きが加速しました。 

【決め手】DXの壁「ビッグデータは不要」。食品メーカーの現状に即したAI選定

― サービス選定の決め手は何でしたか?

T様: 複数社のサービスを比較検討しました 。DATAFLUCT社に決めた最大の理由は、いわゆる「ビッグデータ」がなくてもAIによる需要予測を実現できる柔軟性です。

DXを推進したくても、十分なデータが整備されていない企業は、弊社以外にも多く存在すると感じています。特に、リソースが限られる企業にとっては、導入のハードルが高くなりがちです。

しかし、他社サービスが大量のデータを前提とする中で、当社が日々蓄積している一般的なデータ量でも十分に対応可能だった点は、非常に大きな安心材料となりました。これにより、DX導入への一歩を、無理なく踏み出すことができました。

【DXの要諦】AIと「現場のヨミ」の融合。食品メーカーの精度を高めるハイブリッド需要予測

― AIの予測に、営業担当者の知見も反映させていますね。

T様: はい、AIと人のハイブリッド対応は、DX構想の段階から必須の機能でした。AIは過去のデータ傾向を分析するのが得意ですが、特売などの販促施策やお客様の声といった、現場のリアルな情報は持っていません。

当社の需要予測において、こうした流動的な要素は欠かせません。AIの客観的な予測と、営業担当者が持つ現場の知見、双方の強みを融合させることで、予測精度を最大化できると考えました。

【導入プロセス】DX成功の鍵は「現場の巻き込み」。伴走型支援でスムーズなシステム導入へ

― 導入にあたり、工夫された点はありますか?

T様: DXを成功させるには、現場の協力が不可欠です。そこで、要件定義の段階から定例ミーティングに現場の営業担当者数名に参加してもらい、実情を反映したシステム構築を目指しました。

また、導入時には全営業担当者向けの説明会を開催し、AIが得意なことと、人にしかできない役割を丁寧に説明することで、新しいシステムへの理解と協力体制を醸成しました。DATAFLUCT社が、単なる技術提供だけでなく、当社の業務を深く理解し、実践的な提案で伴走してくれたことも、プロジェクト成功の大きな要因です。

【効果】DXの成果。販売計画工数60%削減とサプライチェーン全体の最適化

― AI導入による具体的な効果を教えてください。

T様: まず、全国の営業担当の販売計画作成業務において、60%の工数削減を見込んでいます。これにより創出された時間を、既存顧客との関係強化といった、より付加価値の高い戦略的な業務に充てられるようになり、残業時間の抑制にも寄与しています。

― 組織的な変化はありましたか?

T様: 予測精度が安定したことで、営業部門と調達部門間のコミュニケーションが、在庫調整などに妨げられることなく、より建設的かつスムーズに進むようになりました。部門間の連携が強化されたことで、お客様に商品をお届けする全過程の最適化に向けて、確かな一歩を踏み出すことができたと実感しています。

現場からも、AIのおかげで計画調整の時間が減ったと好評です。もちろん、市場動向が過去のトレンドと異なる動きを見せた際には、人の分析による修正が重要で、それがAI予測の幅を広げていくために重要だと認識しています。

食品メーカーのDX推進、データ活用成功へのアドバイス

― 最後に、DXを目指す食品メーカー様へメッセージをお願いします。

T様: DATAFLUCT社は、データが限られた環境でも、確かな成果を導き出せる企業です。DXを進めたいがデータ整備に課題を抱えている企業様に、特におすすめしたいですね。

これから導入を検討する方へのアドバイスは、「事前に解決可能な課題については可能な限り整理・対応を済ませておくこと」です。要件定義やシステム構築の段階で、複数の課題を一度に解決しようとすると、想定以上の工数が発生し、結果として初期費用の増加につながる可能性があります。段階的かつ計画的な導入を心がけることで、より効果的かつ効率的な成果が得られると思います。

食品メーカーのDXは「オーダーメイドAI」から

トロナジャパン様は、DXの一環としてAI需要予測を導入し、属人化という長年の課題を解決しました。その成功の鍵は、①ビッグデータを必要としない柔軟なサービス選定、②AIと現場の知見を融合させるハイブリッドな仕組み、そして③現場を巻き込んだ丁寧な導入プロセスにありました。

AIの導入は、単なる業務効率化に留まらず、サプライチェーン全体の最適化と、社員が付加価値の高い仕事に集中できる環境創出を実現します。

サプライチェーンDXを加速させるAI需要予測なら、Airlake

「Airlake AI models」は、お客様のデータ状況やビジネス課題に合わせ、オーダーメイドで最適な予測モデルを開発します。まずはお気軽にご相談ください。

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