2024.08.28

データベースの必要性 〜 導入効果・業界事例について解説! 〜

    データベースの必要性 〜 導入効果・業界事例について解説! 〜

    AI活用・DX推進の鍵は「データベース」にあります。膨大なデータを効率的に管理し、ビジネスの成功を支えるデータベースの必要性とその選び方について、身近な例とともに解説します。

    1.データベースの基本的な構造

    データベースにはいくつか種類があります。データのアクセス速度や処理性能など、それぞれの特徴を把握し、自社のニーズに合うデータベースを構築することが重要です。

    階層型データベース

    データがツリー構造で組織され、親子関係に基づいて格納されます。1970年代から使用されている初期のデータベースです。

    メリット◎

    • データの階層構造が明確な場合に最適
    • 高速な読み取りと更新操作が可能

    デメリット▲

    • 柔軟性が低く、データ構造の変更が困難
    • データの冗長性が発生しやすい

    ネットワーク型データベース

    データがネットワークで組織され、複数の親子関係を持たせることができます。階層型データベースとは異なり、情報の重複登録を避けられます。

    メリット◎

    • データを重複することなく整理でき、複雑なリレーションシップを持つデータを管理できる
    • 柔軟性があり、データ構造の変更が比較的容易

    デメリット▲

    • データの登録・削除のたびにデータへのアクセスルートが変わるため、データ構造をケアしながら利用する必要がある

    リレーショナル型データベース

    データが行と列の形式でテーブルに格納され、SQLを用いて操作します。現在主流となっているデータベースで、銀行の預金データやショッピングサイトの購入データなど、データの一貫性が必要な業種に適しています。

    メリット◎

    • 行と列の形式で構成されるテーブルにデータを格納されるため、情報の整理と抽出が容易
    • 制約やトリガーを用いて、データの一貫性を維持できる

    デメリット▲

    • データを管理するプログラム自体が複雑になる
    • データが大規模になると処理速度が落ちる

    NoSQL

    リレーショナル型ではないデータベースの総称で、処理速度の高速性や対応データの多様性が強みです。データの一貫性を担保しない代わりに、膨大なデータでも素早く処理できます。

    メリット◎

    • ビッグデータなどの膨大なデータを活用できる
    • 非構造化データ・半構造化データも格納できる

    デメリット▲

    • データの整合性が保証されない
    • SQLを使用しないため、複雑な検索ができない

    2.データベース導入のメリットとデメリット

    データベースの導入は、データの管理・活用の面で多くのメリットがありますが、初期コストやセキュリティリスクなどのデメリットも考慮する必要があります。

    データベース導入のメリット◎

    【1】データの効率的な管理とアクセスができる

    • 一元的なデータ管理により、必要なデータへの迅速なアクセスが可能となり、業務の効率化が図れる
    • データの検索、集計、分析が容易になる

    【2】データの一貫性と整合性の確保

    • さまざまな機能とメカニズムで、データが常に正確で矛盾のない状態を維持できる
    • 正確で信頼性の高いデータを基に業務を行うことができる

    【3】人為ミスの防止

    • 自動化されたデータ管理により、手動入力のエラーが減少し、データの精度が向上する
    • データの入力時にチェックやバリデーションを行うことで、誤入力を防ぐことができる

    【4】内部統制の強化

    • 監査ログやアクセス履歴を記録し、コンプライアンスや内部統制の強化に貢献
    • ユーザー権限管理により、データへのアクセス権を適切に制限し、セキュリティを強化できる

    データベース導入のデメリット▲

    【1】初期コストと運用コスト

    データベースの導入には、ソフトウェアライセンス費用、ハードウェア費用、設置・設定費用などの初期コストがかかります。維持管理やアップデート、トラブルシューティングなどの運用コストも発生します。

    【2】データ移行の難しさ

    既存のシステムから新しいデータベースへのデータ移行は複雑で時間がかかることがあります。データの互換性や整合性を確保するために、詳細な計画とテストが必要です。

    【3】セキュリティリスク

    データベースはセキュリティリスクにさらされる可能性があり、適切な対策が必要です。

    ★セキュリティ対策の一例「暗号化」

    データを特定のアルゴリズムを使って変換し、許可されたユーザーだけがアクセスできるようにする技術。暗号化は、データのセキュリティを強化し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減することができます。データベース管理システム(DBMS)が提供する「透過的データ暗号化」や、アプリケーションがデ

    3.データベースはビジネスでどう役立つ?

    データベースによって可能になることを、ビジネスシーンに合わせて解説します。

    【1】意思決定の内容とスピードを向上させる

    データを統合すれば、部門間のデータの整合性と一貫性を保ちながら、総合的な視点でインサイトを得ることができます。「販売データを分析し、次の四半期の需要予測を行う」などデータ駆動型の意思決定ができるようになります。

    また、データベースはリアルタイムでデータを更新・分析できるため、迅速な意思決定が可能になります。たとえば「在庫管理システムをリアルタイムで監視し、適切なタイミングで再発注を行う」などの業務革新が可能です。

    【2】顧客データ管理とCRM

    顧客の基本情報、購入履歴、問い合わせ履歴などをデータベースに保存し、詳細な顧客プロファイルを構築すれば、個々の顧客のニーズや嗜好に合わせたサービス提供が可能になります。ターゲットマーケティングやパーソナライズドマーケティングにも活用できます。

    また、問い合わせ履歴やサポート履歴をデータベースで管理することで、顧客が以前に問い合わせた内容を参照し、迅速かつ適切なカスタマーサポートが可能になります。

    【3】データにもとづく財務戦略

    財務データを効果的に管理し、分析することで、最新の財務状況を把握し、最適な戦略を立案・実行するのに役立ちます。たとえば「月次の収支レポートを自動生成し、予算と実績の差異を分析する」など、コスト管理の強化と省力化が可能です。

    「売掛金の回収状況をリアルタイムで監視し、未収リスクを低減する」などリスク要因の特定と管理にも活用できます。

    4.【業界別】データベースの活用例

    続いて、業界別にデータベースの活用イメージを紹介します。

    小売業のデータベース活用例

    【1】 顧客データの分析とパーソナライズドマーケティング

    顧客の購買履歴、行動データ、フィードバックを収集・分析します。過去の購入履歴やブラウジング履歴に基づいて、顧客に関連商品を推薦する「レコメンデーションシステム」や、セグメント化された顧客に対して、カスタマイズされたプロモーションや広告を配信する「ターゲットマーケティング」が可能になります。

    【2】在庫管理とサプライチェーンの最適化

    在庫データをリアルタイムで管理し、サプライチェーン全体を効率化できます。商品の入出庫をリアルタイムで追跡し、在庫不足や過剰在庫を防いだり、供給業者からの納品状況やリードタイムを管理するのに役立ちます。

    金融業のデータベース活用例

    【1】トランザクションデータの管理と不正検出

    すべての取引データをデータベースで管理し、不正な取引をリアルタイムで検出します。異常な取引パターンを検出するためのアルゴリズムを実装し、不正取引をリアルタイムでフラグ付けしたり、履歴を保存して法令遵守のための監査を支援できます。

    【2】リスク管理と信用分析

    データベースを用いてリスク要因を分析し、個々の顧客や企業の信用リスクを評価できます。顧客の信用情報を集めて信用スコアを算出し、ローンやクレジットの承認判断に利用する「信用スコアリング」や、市場データや取引データを分析し、様々なリスクシナリオの影響を評価するのに役立ちます。

    ヘルスケア事業のデータベース活用例

    【1】患者データの管理と電子カルテシステム

    患者の診療情報、検査結果、治療履歴をデータベースで管理し、電子カルテシステムとして活用できます。医療従事者が迅速に情報にアクセスできるようになり、複数の医療機関間で患者データを共有し、連携した治療を提供することも可能になります。

    【2】医療研究とデータ分析

    大量の医療データを分析して、新しい治療法の開発や疫学研究を行います。臨床試験データを分析し新薬の有効性と安全性を評価したり、患者データを基に健康リスクを予測し、予防医療に役立てることができます。

    製造業のデータベース活用例

    【1】 生産プロセスの監視と最適化

    データベースを用いて生産プロセスのデータを収集・分析し、効率的な生産管理を実現します。生産ラインのデータをリアルタイムで監視し、生産の最適化を図る「製造実行システム(MES)」や、機械の稼働データを分析し、故障の兆候を早期に検出する予防保全という形で活用されています。

    【2】品質管理とトレーサビリティ

    生産データと品質データを統合し、製品の品質管理とトレーサビリティを実現します。生産過程での品質検査データを記録し不良品の発生を抑制したり、製品の製造履歴を追跡し、問題が発生した際の迅速な対応に活用できます

    これからのデータベースのあり方とは?

    ビッグデータやAIの発展と共に、データベースはより高度で柔軟なデータ管理・分析が可能になります。「ブロックチェーンデータベース」「グラフデータベース」「クラウドネイティブデータベース」などの技術も登場し、それぞれが今ある課題に新たなソリューションを提供しています。

    データ量の爆発的増加への対応、リアルタイムでデータを収集・処理・分析する能力などが一層求められるようになり、データベースは単なるデータの保存場所から、インサイトを得るための重要なツールへと進化しています。

    DATAFLUCTが提供する「AirLake」は、PDFなどのドキュメントや手書き文字、画像、音声も構造化し、分析可能なデータベースに変換します。構造化したデータを簡単に活用するための機能も多数揃え、収集したデータを加工・蓄積し、活用するまでの業務を効率化します。

    データベースの導入を検討中の方は、ぜひ当社の「AirLake」をお試しください。