2024.08.01

中国電力ネットワークと「衛星データを活用した森林クレジット創出支援事業」で共創を開始

データサイエンスで企業と社会の課題を解決する株式会社DATAFLUCT(本社所在地:東京都渋谷区、代表取締役CEO:久米村 隼人、以下DATAFLUCT)は、中国電力ネットワーク株式会社(本社:広島県広島市、代表取締役社長:長谷川 宏之、以下「中国電力ネットワーク」)のオープンイノベーションプログラム「Co-Creation with Network」に採択されました。当社が提案した「衛星データを活用した森林クレジット創出支援事業」の実現に向けて、共創に取り組みます。

衛星データ活用や脱炭素事業の実績をもつ当社と、中国地方の山地に多くの送配電設備を持つ中国電力ネットワークのアセットを組み合わせることで、精緻な推定を維持しつつ森林クレジット申請にかかるコストを低減させ、中国地方の適切な森林管理と森林クレジット創出、企業によるクレジット活用が一体となった地産地消の循環モデルの構築を目指します。

背景

中国電力ネットワークは、電力の安定供給の確保を使命とし、送配電の設備や地域とのつながりなど、事業を通じて様々なネットワークを培ってきました。人口減少や環境意識の高まりなど事業基盤である中国地域の環境が大きく変化する中、新たな事業領域へ進出し、地域・社会の活性化に挑戦するために、オープンイノベーションプログラム「Co-Creation with Network」を実施しています。(詳細:https://chugoku-nw.regacy-innovation.com/)

日本政府が認証する「J-クレジット」は、温室効果ガスの削減(オフセット)方法の1つとして、自社の自助努力だけで温室効果ガスの削減が難しい企業等から需要が高まっています。一方で、J-クレジットは、創出や活用における煩雑な手続き面や複雑な制度面、費用面での課題があります。また、森林クレジットの創出や施業履歴の管理では、森林の状態を定期的にモニタリングする必要があり、コストが大きいのも課題です。

衛星データから広範囲の森林を一度にモニタリングすれば、森林の状態と変化を少ない時間とコストで捉えることが可能となりますが、人的測量や航空機LiDAR・ドローンによる測量と比べて精度には課題があります。そのため、衛星データの利用は、一部のモニタリングを除き、国内の森林クレジットの方法論として認められていないのが現状です。

また、中国地域は森林率が全国2位の72.5%と高く、継続して豊富な森林資源を活用した森林クレジットを創出していくことは、カーボンニュートラルの実現に向けて極めて重要です。加えて、同地域は産業部門からのCO₂排出量が東京圏・関西圏と並んで高く、全排出量に占める割合でも産業部門が突出して高い産業集積地です。このため、地域内の森林から生み出された森林クレジットを、地域内の産業のクレジットニーズとマッチングし地産地消をすることは、地域社会の価値の環流及び有効な資産の活用、地域貢献といった点でユニークかつ極めて意義のある試みであると考えられます。

今回の共創は、地域とともに発展を目指す中国電力ネットワークと、衛星を含む新たなデータの活用とアルゴリズム開発を通じてカーボンクレジット市場の間口を広げ、活気のあるエコシステム作りを目指す当社の思いにより、実現しました。

共創事業の概要


本事業では、中国地域の森林を対象に、衛星データを活用したモニタリングにより森林所有者の負担軽減を図りながら、少ない時間と低コストで森林クレジットを創出する手法の開発と実現可能性について検証します。

また、地元企業にとって、地域内の森林で創出された森林クレジットを購入することは、自社のCO₂排出のオフセットと同時に地域の森林管理への支援も実現できる画期的な地域貢献の手段となります。中国電力ネットワークが持つ地域内のネットワークを活用し、本取り組みに賛同いただける企業・森林クレジット需要家との繋がりの開拓も目指します。

共創パートナー募集について

既に協議に入っている中国地域の森林に加え、本取り組みに関心のある共創パートナーを募集します。クレジット組成を検討中である、または今後検討する可能性のある森林組合・自治体、または社有林を保有する企業の供給者側とはクレジット評価・組成についての実証が可能です。森林クレジットの調達をお考えの企業(とくに中国地域に本社・事業所をもつ企業)への調達支援も可能です。
森林クレジットの活用にご興味がある企業はお気軽にお声かけください。
お問い合わせ:https://datafluct.com/contact

今後の展開

5月より事前協議を開始し、7月より供給者・需要家のヒアリングを実施しております。今後は技術実証及び事業コンセプトの実証を行い、9月のデモデイに向けて事業スキーム・市場成長性の検証を行います。

最新の衛星データ活用技術と共創事業の展望をウェビナーで解説


セミナー名:中国電力ネットワークが切り拓く森林クレジットのこれから
開催日時:2024年8月7日(水)12:00 - 13:00
参加条件:無料・事前申込制
参加方法:お申込後にご登録のメールアドレスに視聴URLをお送りいたします。
参加申し込みフォーム:https://attendee.bizibl.tv/sessions/seQ0hxumSJEC

セミナー内容

  • 森林クレジット市場環境・動向について
  • 中国地域での地産地消・戦略的クレジット調達スキームの紹介
  • 衛星を活用したポテンシャル評価技術の活用余地・開発進捗

こんな方におすすめ

  • 森林クレジットに関心がある企業の経営者、経営企画部、カーボンニュートラル推進部の方々
  • 衛星データを使ったソリューションに関心がある企業の新規事業企画チーム
  • 中国地域でのカーボンニュートラル施策に関心がある方
  • 森林を管理される森林組合、自治体、社有林をお持ちの企業

DATAFLUCTの衛星データ活用実績について


「GHG monitoring」サービス画面イメージ
株式会社JAXAベンチャーとして設立された当社は、衛星画像解析などの高度な技術と事業化の実績を持ちます。これまでに、衛星データとGDPなどの地上のデータを組み合わせて大気中の二酸化炭素の濃度と経済活動を可視化するサービス(2021年公開。現在は「TOWNEAR」として提供中)や、水田由来のメタン排出削減を目的に、衛星データ分析による水田マッピングおよび稲作状況を推定するアルゴリズムの開発(2022年)などの取り組みをしてまいりました。2023年には、衛星画像を利用した森林のCO₂吸収ポテンシャルの算出ツール開発事業で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年「SBIR推進プログラム」に採択され、森林バイオマス推定の精緻化と低コスト化に向けた研究を開始しました。

衛星データ活用事業に関するお問い合わせ:https://datafluct.com/contact